器用貧乏な自分を受け入れ「チームで勝つ」、最大市場の中国で勝ち抜くための組織づくり

ー 2018年5月の設立から2年弱で海外自社拠点内随一の売上を誇り、営業利益YoY14倍という高い成長率でフリークアウトグループ海外事業の発展を力強く牽引しているFreakOut China, Co., Ltd.(通称 FreakOut China)を率いるのは、新卒入社4年目・25歳で代表に就任した岡田 梨佐だ。
それまでのフリークアウトグループ海外支社では、拠点国内でのアドネットワーク事業を中心に事業展開を進めていた一方で、岡田は中国国内での広告事業は一切行わず、中国アプリデベロッパーの中国“国外”でのマーケティング支援に軸足を置くという新たな一手で、グループ内に独自のビジネスモデルを築いた。
入社のきっかけとなった最終選考のジョブプログラムや、これまでの岡田の挑戦と躍進、成長を続けるFreakOut Chinaのビジョンについて、インタビューしていく。


岡田 梨佐(おかだ りさ)

FreakOut China, Co., Ltd. CEO

2015年4月、新卒で株式会社フリークアウトに入社。
直販セールスチームにて、消費財メーカーを主に担当。
2017年6月、全社MVPを獲得。
2017年10月、FreakOut Taiwan Co.,Ltd.へ異動。
2018年5月、FreakOut China, Co., Ltd.を設立し、代表取締役に就任。
2020年9月、FreakOut ChinaがFY2020下半期の「FreakOut Group Award Best Team」を受賞。
売上・利益目標ともに大幅達成し、グループの業績に著しく貢献したことが評価される。

「器用貧乏」な自分を知った、フリークアウトでのジョブプログラム


─ 学生時代は、北京大学に一年間語学留学していた岡田。留学中は学業に励むほか、ダンスサークル、貧困地域でのエイズ孤児院でのボランティア、日中交流サークルの幹部など、多分野での活動に取り組んでいたと言う。日本では、イベントサークル代表、フリーペーパーサークル、日中の国際交流系学生団体、衆議院議員事務所での議員インターンに加え、年に4回国内出張で営業するようなアルバイトをして、スケジュールはつねに目一杯だった。
切羽詰まることなく「やるべきこと」と「そうでないこと」を見極め、「やるべきこと」に集中している「マルチな人」のように感じられる岡田だが、それゆえのコンプレックスもあったと言う。

学生時代、自分では忙しい生活を送っていたという意識はないんです。

留学中は、北京大学に通う外国人学生が集まって中国語を学ぶようなコースだったので、そこに通っているだけでは北京大学の中国人の友達を作りづらいんですよ。でも、せっかく中国にいる間に中国人の友達を作りたいし、「今しか出来ないこと」をしたいと思って。それで、ダンスサークルなど周りにあったチャンスにどんどん手を出していったら、気がついた時には活動範囲がすごく広がっていました。

ただ、私は「何でもやる」というスタイルとは少し違っていて、常に物事の目的を考えるんです。何事も一生懸命にやった方が面白いので、目的を感じられることにはとことん真剣に向き合うタイプだと思います。逆に、目的を感じられないことには時間を使いません。

就活でも、会社の目的・方向性・ビジョンを聞いて自分自身がワクワクできるかどうかを基準に進めていたので、企業説明会や選考で知り合った就活生に「面白い会社を教えて」と聞いていました。それで、フリークアウトの名前がよく出てきたことがきっかけで、選考に参加したんです。

フリークアウトの最終選考は内定直結型の3日間のジョブプログラムで、メンター社員の指導のもとで各チームが新規事業を立案する、といった内容のものでした。私はチームの中でもメンバーをファシリテートするリーダー的な役割で、ほぼ寝ずになんとか課題を完成させた2日目の中間発表の後、メンター社員からこんなフィードバックを受けたんです。

「器用貧乏だね。このままだと突き抜けた人材にはなれないかもしれないよ。」

予想とは裏腹にそれは、アウトプットの内容にではなく、自分の内面に関するものでした。

「りさりさは、様々なツールやディスカッションフレームを使いこなして、情報の整理やプロジェクト管理を首尾よく行うことにとても長け、チームの中でも非常に高いバリューを発揮している。しかし一方で、解のない問いに対して、りさりさ個人の主張のようなものが全く見えなかった。

成果に差を生む要因の80%くらいは既知の事実や原理原則に基づいてロジカルに正しく実行しきれるかという点だけれど、残り20%くらいは独自視点。ある意味ロジカルでない、その人ならではの熱狂のようなものを原動力として粘り強く遂行し、差をつけていくもの。りさりさの場合、物事を論理的に構築する能力がものすごく高いから、何に取り組んでも一定水準の成果を出せるし、どんなコミュニティにいても常に上位に入れると思う。

でも気をつけないと、常に80点で他の賢い人と何らアウトプットが変わらない “器用貧乏” になってしまう。もちろん常に80点を取り続けることは難易度が高く素晴らしいことだけど、りさりさには度肝を抜く人材になって100点と言わず1000点以上を目指して欲しい。」

ジョブ当時、メンターを担当した社員によるコメント

・・・その時の「器用貧乏」という言葉に、ハッとさせられました。「器用貧乏」という言葉は、まさに私がコンプレックスに感じていたことを表す言葉だと思ったんです。

幼少期から、習い事も勉強も何事においても、“ある程度”以上のレベルには無理なく到達できるという自覚はありました。でも、“ものすごく出来る”というところまでは、何一つやれていなかった。誰にも負けたくないほどに、何かに夢中になって「極めた」という経験がそれまでなかったんです。

結果としてジョブでは優勝できましたが、最後まで自分が納得できるアウトプットを出せなかったことと、中間発表から最終発表の間に「器用貧乏」な自分から抜け出せなかったことで、嬉し泣きではなく、悔しくて泣いたことを覚えています。

フィードバックの内容はとても腹落ちしましたし、フリークアウトで出会う人たちは、表面的なことでなく「私はどういう人間なのか」をよく見て知ろうとしてくれている、と感じました。

「度肝を抜くようなプロダクトを世に送り出したい」という視座と想いを持った会社。フリークアウトの経営陣・社員が、それぞれに想いを持って、遊ぶように働く姿を見て「カッコイイな、こういう人たちと仕事がしたいな」と思ったんです。最後は「人」が決め手でした。

1000点以上を目指すどころか80点もとれない、社会人一年目の挫折

度肝を抜く人材・・・1000点以上を可能にする「私ならではの熱狂」とはどういうものなんだろう。社会人として仕事をしていくなかで、見出していきたいーージョブから約1年後の2015年4月、私はフリークアウトに入社しました。

入社後は、研修期間を経て直販セールスチームでコンサルタントとして消費財メーカーを担当するようになりました。

私が先輩から引き継ぎ、担当することになったクライアントは、日本を代表する大手消費財メーカー。デジタルマーケティング戦略のパートナーとしてフリークアウトを選び、業界でも先進的な取り組みを続けるそのクライアントが、当社にとって非常に重要なクライアントであることは、新卒1年目の私にも明確でした。

クライアント側の担当者は、アドテクノロジーの造詣も深く、デジタルマーケティング業界では有名人。業界に精通されていて、イベントに登壇されたり、メディアで拝見することも多い方でした。

一方で、私は新卒入社一年目。重要なクライアントの優秀なベテラン担当者を前にして「かなわない」と感じるばかり。常にプレッシャーを抱えながら、何とかしがみついてやっていくような日々でした。

担当していたクライアントとは、毎週2時間の定例ミーティングを行って、そのために60ページのパワーポイント資料2ブランド分を毎週作成。朝から夜遅くまで、週末までも業務に時間を費やして、この頃は1000点を取るどころか、80点を取ることにも必死でした。

それでも諦めず、仕事に対して、クライアントに対して、とにかく一生懸命全力で向き合って、考えて悩んで経験を重ねるうち、先輩から引き継いだ内容に、少しずつ私自身の視点や想いを積み上げられるようになっていったように思います。

当時業界内ではブランドセーフティーやアドフラウドに関する意識が高まっていた頃。1年目から担当していたクライアントが常に先進的な取り組みをしていたことから、数年間でこの領域に対する知見を深めることができたんです。

その知見を活かし、新しいクライアントとの取り組みも増えていったことで、自分自身の仕事のスタイルを作り出せたと感じたのは、入社3年目を迎える頃でした。

結果として、入社3年目の2017年6月に全社MVPを受賞することができました。色々なことに同時に取り組んだ学生時代とは違い、入社から最初の2年間はとにかく仕事に全力で向き合いました。いっぱいいっぱいになりながら、正解がわからないなか必死に突き詰めてやってきて、「やっと成果らしいものを出せた」。このことは私にとってとても大きな自信になりました。

また、このときには同年10月から海外事業部へ異動することが決まっていました。当時の上司で、ずっと尊敬していた先輩社員の司さんから「MVPおめでとう。文句なし、行ってこい!」と暖かい言葉をもらって、これまでの国内での経験を通して「一人前」と認められたように感じ、次のチャレンジに向けて強く背中を押してもらいました。

チームの対立から学んだ、ぶつかり合う二つの考え方を両立させる組織づくり

新卒3年目の秋となる2017年10月、設立から1年数ヶ月経つFreakOut Taiwanへ異動。私は、FreakOut Taiwanの代表である山根さんのもとで、拠点開設のノウハウなどを教わりながら、中国拠点の立ち上げプロジェクトを進めることになりました。

フリークアウトはそれまでに海外11の国と地域に拠点を開設していましたが、海外進出の際の型が出来始めていた頃だったように思います。拠点国内でのアドネットワーク事業を中心に事業展開し、現地出身のGMを採用して事業戦略をドライブさせていく、というようなスタイルです。

しかし、世界一の規模で急速な成長を続ける中国市場には大きなビジネスチャンスがある一方で、文化の違いや中国市場ならではの事情等、市場参入のハードルは高く、ゼロベースで検討する必要がありました。

そこで、まずは現地調査のため北京・上海・香港へ飛び、日系企業を中心に現地の生の声からニーズを探りました。その結果、アドネットワーク事業拡大のチャンスは低そうだと判断しましたが、一方でTikTokや陰陽師など、中国のエンタメ・ゲームアプリの日本進出の勢いを実感し、そこにビジネスチャンスを見出せると思ったんです。

台湾ではグループ会社adGeekの役員陣にアドバイスを受けたり、中国や台湾で行われるゲーム関連イベントに参加するなどしながら、事業のイメージを具体化していきました。

そして、北から南まで中国各地のクライアントにリーチできるよう、中国の中心にある上海を拠点に選び、中国のエンタメ・ゲームアプリを中心にクロスボーダーマーケティング事業を行うFreakOut Chinaを開設しました。2018年5月のことです。

中国ゲーム市場が右肩上がりで急成長しており肥沃なマーケットであったことと、当時は当社DSPを使って日本の代表的なコミュニケーションアプリの広告面に独占配信できたことなどから、幸いにも早期にクライアントを獲得し、売上基盤を作ることができました。

売上は、立ち上げ初月に1,000万円、数ヶ月後には5,000万円を超え、その後も右肩上がりに伸びていき、立ち上げは成功したように思えました。しかし組織内では、中国と日本の文化のぶつかり合いから生まれるトラブルが日々多発するようになっていったんです。

中国のクライアントが日本に広告配信をする際に、中国国内の営業チームと日本の広告運用チームが対立するようになってしまいました。

日本の広告運用チームは、日本の商習慣をしっかり守って信頼関係を築き、日本のローカルメディアと長期的に取引をしたいと思っている一方で、クライアントワークをしている中国の営業チームからすると、日本の商習慣に従ったルールの上では新規クライアントの獲得が難しく、日本チームにもっと柔軟に調整してほしい、というジレンマがある。対立の溝は、日に日に大きくなるばかりでした。

その結果、中国 – 日本チーム間の連携は崩れていき、青天井の広告予算案件も、運用が不十分だったためパフォーマンスを伸ばせず少額取引のまま終わってしまったり、失注してしまったこともありました。順調だった売上もその頃から伸び悩むようになりました。

日本からすると中国からの要望は無茶で雑なようにも感じるし、中国からすると日本は柔軟性やスピードに欠けると感じる。中国に留学し、日本で働いていた私には、どちらのチームの理屈や考えも理解できました。

同じように「どちらの理屈もわかる」という人を増やせば、もっと上手くコミュニケーションがとれるのでは、と思ったんです。

日本では「人に迷惑を掛けるな」と言って育てられることが多いかと思いますが、中国では「人に勝て」と言って育てられるんだそうです。それくらい日本と中国では、価値観や人の性質がまるで違います。この違いは、中国に留学していたときにも身をもって感じました。

中華圏独特の文化・考え方と日本文化、そのどちらも知っていて、許容があるメンバーが必要でした。そこで、中国側のチームに日本での留学経験のある中国人、日本側のチームに中華圏での留学経験のある日本人に、それぞれジョインしてもらいました。

もともと互いの文化や考え方に理解のあるメンバーが両側に入ったことが功を奏し、感情面に配慮しつつ、それに惑わされない合理的な折衷案を出せるようになりました。

その後も引き続き、特に日中間での文化理解と対応能力を採用の基準に置いてきました。この基準と人員配置によって、両チームがスムーズに連携できるようになり、売上にも大きく寄与し、業績も好転していったんです。

今年に入って新型コロナウイルスのパンデミックに見舞われましたが、FreakOut Chinaの事業面では、巣ごもり需要を受けてゲーム関連会社のマーケティング活動が活況を迎え、売り上げは大きく伸びました。継続して取引してきたクライアントの広告予算も大幅にアップし、それまでの努力が実を結んだ瞬間でした。

また、現在FreakOut Chinaの事業の大きな柱となっているのが、ブランディング案件です。中国から日本進出の際のローカライズに適した芸能人・声優のアサインメント、Web CMの撮影、オフラインのイベント開催等、幅広く支援する代理事業を行っています。

「もともと広告代理店ではないフリークアウトが、我々だからこそ発揮できる価値とは何か? フリークアウトの他の事業部や子会社のほとんどがテクノロジーで課題を解決するなか、代理事業だからこそ解決できる課題は何なのか?他社ができることをやっても全くカッコよくない。フリークアウトらしいオリジナルな価値を発揮して、クライアントのマーケティングを成功に導きたい。」

そういう想いで事業を推進してきて、最近では、オンライン/オフラインのマーケティングを丸ごとお任せいただくケースも増えてきました。

中国では「全くの無名」だった状態からFreakOut Chinaをスタートしましたが、当社が手掛けたプロモーション事例を目にした方々からお問い合わせをいただく機会も増え、設立からの約2年間で知名度も上がってきたと実感しています。


ー 2018年5月の設立から2年弱。FreakOut Chinaは、海外自社拠点内随一の売上を誇るまでとなり、2020年9月末に開催されたフリークアウトグループ総会では、2020年度の売上・利益目標ともに大幅達成したことが評価され、「FreakOut Group Award Best Team」を受賞した。営業利益YoY14倍の急成長を実現し、名実ともにフリークアウトグループ海外事業の発展を力強く牽引している。今後岡田がFreakOut Chinaで実現したいこと、目指す先とは。

器用貧乏な自分も受け入れ、最大市場の中国で「チームで勝つ」

FreakOut Chinaの業績はおかげさまで好調。チーム全体の雰囲気もすごく良いのですが、これからに向けての課題は山積みです。

特に力を入れていきたいと思っているのは、2つ。人員配置や仕組みづくりなどの「経営視点での人事」と、「カルチャーの浸透」です。

チーム間のコミュニケーションによるトラブル多発と売上低下という苦い経験をし、人と組織の状態を正確に把握し、人員配置をすることの大切さを痛感しました。最適な人員配置によって生産性の高い組織づくりができること、「経営と人事は一体である」と身をもって学びました。

今は組織がまだ小さいこともあって、一人ひとりのメンバーのアクションや売上が、会社の業績に直に響いてきます。しかし、大きな影響力を持つのは、まだ一部のメンバーに偏っているのも事実。

メンバーの「強み」と「弱み」をパズルのように組み立てて、一人ひとりが輝きながらそれぞれのスキルを向上させ、組織全体の力を伸ばすことで、FreakOut Chinaの成長を実現するような組織づくりに力を入れていきたいと思っています。

2つ目の「カルチャーの浸透」については、私自身がフリークアウトに新卒で入ったからこそ、フリークアウトに対する想いも強いですし、やっぱりこのカルチャーが好きなんです。

フリークアウトでは、「カッコイイもの」と「そうでないもの」がハッキリ分かれていて、「度肝を抜く」という水準が行動指針になっています。そういう感覚を持った人たちと一緒に大きなチャレンジを目指せる環境が、私にとっては心地良く、フリークアウトが好きな理由です。このカルチャーをFreakOut Chinaにも浸透させていきたいと思っています。

ー1000点以上を可能にする「私ならではの熱狂」とは何かー

この問いの答えには、まだ辿り着いていません。

中国支社の立ち上げから約2年間の経営を通して、「自分一人では絶対できないことを、チームを作ることで実現する面白さ」を学べたことが、自分の中でとても大きいと感じています。

「器用貧乏」は私にとってのコンプレックスでしたが、今では、同時に自分の強みでもあると感じるようになりました。

強みと弱みは表裏一体で、人と場所とタイミングとの組み合わせによって、強い武器にもなり得る。RPGのように、自分だけでは到底敵いっこない大きな敵とも、特性の違う仲間を集めて強いパーティーを作ることで、戦える。広い世界を一緒に冒険できる。

今は自分自身、そして組織の弱みや課題を把握して、それを補完する組織づくりを通して「チームで勝つ」ことの楽しさを知っています。特にクロスボーダーのビジネスを行っていると、想像もし得なかったような課題に毎日ぶつかりますが、チームのみんなと一つひとつ解決して、強くなっていきたいと思います。

そんななかで、いつか「1000点以上を可能にする私ならではの熱狂」を見つけて、チームに、会社に、社会に貢献できる市場価値の高い人材になりたいと願います。