“真っ先に巻き込みたい存在” になるための3つの要件

─ 新組織/拠点/プロジェクトの立ち上げ、大手企業との資本業務提携。フリークアウトの創業初期から、会社の成長フェーズごとのあらゆる重要な局面で、責任者の懐刀として、また時には自らが責任者となって、事業を推進してきた人物がいる。立ち上げ領域に関わらず、常に社内から“欲しがられる”人材ーー佐々木 翔平だ。

社外から欲しがられる人材は多い一方で、社内中から欲しがられる人材は実は少ないのでないだろうか。便利屋とは次元を異にする、“欲しがられる”人材の、その汎用的な「付加価値」の正体を探っていく。


佐々木 翔平(ささき しょうへい) aka “Curly”:上部写真左

株式会社フリークアウト 提携事業準備室

2012年5月、株式会社フリークアウトに入社し、DSP市場の急成長時期に国内Salesに従事する。
2012年10月に代理店チームを立ち上げ、その後2013年、営業マネジャーに就任。
2015年4月より、当時子会社であったM.T.Burn株式会社へ出向。
2016年1月、M.T.Burn株式会社とLINE株式会社の資本業務提携により、LINE社へ出向。
2017年4月、株式会社フリークアウトに帰任し、九州エリアの販売強化に従事する。
2017年9月、関西支社長に就任。
2019年4月、東京本社に帰任。伊藤忠商事株式会社との提携事業を中心とする、複数の新規事業に従事。

安倉 知弘(やすくら ともひろ):上部写真右

株式会社フリークアウト・ホールディングス 取締役 広告事業管掌

2013年6月、株式会社フリークアウトに入社。
急成長する組織課題に取り組むべく、責任者として人事部門を立ち上げ、新卒・中途採用、人事制度構築や人材育成等に従事する。
2015年8月、インドネシア法人の代表に就任し、現地にてネイティブ広告プラットフォーム事業の立ち上げに従事。
2017年12月、株式会社フリークアウト・ホールディングスの取締役に就任。
現在は広告事業を管掌する取締役として、広告事業全体の経営管理に従事。


─ 今回のインタビュアーである安倉も、本メディア「Make Some NOISE!」を発起するにあたり、プロジェクトメンバーとして真っ先に巻き込みたいと思ったのは、佐々木だったと言う。二人の対話を通して、佐々木の懐刀としての魅力、また事業領域や関わるメンバーが変わる中でもブレることのない理由を突き止めたい。

aka “Curly”ーあだ名からはじまるコミュニケーション

安倉 知弘(以下、安倉):本題に入るまえに、「佐々木 翔平 aka “Curly”」って、なぜ “カーリー” か気になる人もきっと多いですよね。これまで聞いたことなかったけど、カーリーはどういう経緯でフリークアウトに入って、どんな理由でカーリーと呼ばれるようになったんでしょう。

佐々木 翔平(以下、佐々木):入社の経緯と、あだ名の由来ですか。元々は新卒で広告代理店に入社し、新聞社に常駐しながら広告枠の買付や商品企画をしていました。約4年勤めていたのですが、漠然と「インターネット業界伸びてるし面白そうだなぁ」と眺めていたところ、たまたまフリークアウトからスカウトメールを貰ったんですよね。

事業の内容も全く分からないままとりあえず行ってみた一次面接で、佐藤さん(現 株式会社フリークアウト・ホールディングス 取締役)に「インターネット広告、詳しいですか?」と聞かれ、「詳しくないです」と答えたんですよ。「じゃあ今日はそれを説明するよ」と言われ、一時間くらい「インターネット広告」についてずっと説明を受けて。結局、何一つも質問されないまま一次面接が終わってしまった(笑)。

でも、その一時間の話が今思うと大きくて、興味をひかれたんですよね。それまでフリークアウトの存在を知らなかったけど、「インターネット広告」の世界、広告の仕組みや発想を大きく変えるアドテクノロジーの話を聞いて、面白そうだと思ったんです。

その後進んだ二次面接は、同い年の男性社員二人が面接官だったんですが、覚えているのは当時していた刈り上げ頭をひたすらイジられたことですね。その後、面接やコミュニケーションを重ねてから、「あだ名が “カーリー” に決まったから、5月1日からよろしくね。待ってるね。」というメールが届き、それが内定メールでした。

どうやら、刈り上げ?カール??から、 “カーリー” というあだ名に行き着いたらしいです。

安倉:それが “カーリー” の由来なんですね(笑)。あだ名を勝手に決められたり、面接中のちょっとふざけたような雰囲気は、入社するにあたってネガティブにはならなかったんでしょうか。

佐々木:全く!僕は少しもネガティブには感じなかったですね。入社した後に、二次面接の面接官だった社員たちと刈り上げに対する質問の件を話したんですが、「とりあえずイジれそうな人っていうのが分かった」と言われて。実際僕も全く嫌じゃなかったんで、「ノリが合っていた」ということなんでしょうね。

そういった経緯があって、入社以来ずっと “カーリー” です。本名は佐々木なんですが、本名で僕のこと呼ぶ人っていない気がします。このあだ名のおかげで、僕のことを知らない人からのコミュニケーションのハードルも下がってる気がしますし、安倉さんのように業務内外のことで困った時に声を掛けてもらうことも多かったので、結果的に役に立っているんじゃないかなと。

価値観や時代が変わる“最前線の景色”を特等席で見るために

安倉:カーリーは、2012年5月に入社してから今までの8年間で、様々なプロジェクトの立ち上げに携わっていますよね。

佐々木:そうですね。10人目の営業として、テレアポで新規営業するところからスタートして、代理店向け営業チームの立ち上げ、サプライサイドの事業立ち上げ、その事業が大手事業者とパートナーシップを結んだ後、再びフリークアウトのデマンドサイド事業に戻り、九州エリアの販売シェア拡大および関西支社長を経て、今は伊藤忠商事との提携事業を進めています。

安倉:サプライサイドの事業は佐藤さん(取締役)から、提携事業は本田さん(代表取締役)から、というように、様々な領域で役員含め色んな人からバイネームでカーリーに指名が入って、事業立ち上げをしてきていますよね。これって、狙って得ている結果なんでしょうか。

佐々木:「指名される」ということに対しては、自分で意識して目指していますね。

新規プロジェクトって、会社として非常に需要度が高くて、ビジネス規模も大きいことがほとんどですよね。そういった事業に主体的に携わって結果を出すことによって、個人のスキルとしても「希少性」が高まっていき、その結果また新しいプロジェクトに指名される、というループを生みたいと常に考えています。

あと、単純にそういうプロジェクトって、うまくいけば価値観や時代が変わる“最前線の景色”を特等席で見られる場だと思っていて。そういう機会を逃したくないっていうのをキャリア感としてすごく大切にしています。

安倉:なるほど。一方で、そういった特等席って席数がかなり限られてますよね。そこに「指名され続ける」ために、具体的に心掛けていることなどはありますか。

佐々木:①自分を知ってもらう機会をつくること ②ビジネススキルを磨き、仕事の成果にこだわること ③仕事の意義を共有し一体感をもって共に働けるチームをつくることーーこの3つを大切にしています。

存在を認識されていなければ、何も始まらない

佐々木:まず一つ目、「自分を知ってもらう機会をつくること」。自分を知ってもらうためには、全社員が集まるような納会や、同僚同士での飲み会などの「ビジネス以外の場」も、重要なコミュニケーションの場所になると思うんです。こういう場に出て行って、「目立つこと」も大切なんですよね。

いくらスキルを磨いたところで、認識されていなければ、何も始まりませんから。自分の存在とキャラクターを知ってもらわらないと。

安倉:カーリーは、納会でMCしたり出し物したりって何度となくやってくれてますけど、毎回すごいですよね。もう完全にプロフェッショナル。好きなアイドルで打順を組むプレゼンコンテンツとか、すごい面白かったなぁ。

佐々木:気の合う同僚とふざけあってた様子を見て、納会のMCをやってほしいと声が掛かるようになったのがきっかけですね。やるからには面白いと思ってもらいたい、成果にこだわりたい、と思って気合いを入れていました。自分をアピールする絶好の機会でもあるし。

納会を任される以上、その場を盛り上げることは自分の絶対的なミッションなので、工夫しながら色んなことをしましたね。自腹でペンライトを買って、皆に配ったり(笑)。

でも、そういうこともすごい楽しかったんですよね。そんなことを続けているうちに、マーケティングカンファレンスで、アイドルユニットと「女子小中学生のスマホ事情」についての対談が実現したり。「ビジネス以外の場で目立っていた」ことがきっかけでキャラクターを知ってもらい、それをビジネスに活かすこともできました。

自分のキャラクターを社内の人に知ってもらえていることで、コミュニケーションのきっかけになったり、「頼みやすい」ということにつながっているんだと感じます。

安倉:個人的には、カーリーは「頼みやすいから」以上のものがあると感じていて、単に「目立つ」だけでなく何事に対しても常に期待を上回るアウトプットを出し続けてきているからこそ、「頼みやすい」を超えて「頼みたい」という感覚にさせているんだと思いますね。

ビジネススキルを磨き、成長の可能性を広げるマインドセットを手に入れる

安倉:二つ目は「ビジネススキルを磨き、仕事の成果にこだわること」だけど、新しい事業を立ち上げるにあたって求められる汎用的なスキルって何だと思いますか。

佐々木:ビジネスサイドにおける役割って、A: 売ること、B: 作る人と売る人の間に立ってバランスをとること、C: 外部のパートナーを見つけてきて、良いアライアンスを組むこと、の3つに集約されると思っています。

この3つのビジネススキルを意識しながら既存の役割で結果を出すっていうのが、まず一つ。そしていずれのスキルも、その会社でしか通じないような特有のルールや慣習の上に成り立っている部分もあると思うので、後で振り返りの際に抽象度を上げて、「他社や他業界でも活かせそうな経験をリスト化してストックする」ということを意識し、どんな仕事にも向き合っています。

他業界というわけではないですが、LINE社への出向時や関西という異なる環境で、これまでの経験が本当に汎用的だったのか答え合わせする機会があったのは、恵まれていましたね。実際、汎用的だと思っていた経験がまったく検討外れということも少なくはなかったですが、大事なのはそれに気付けて軌道修正することだと思うので。

あとは、汎用的な高いビジネススキルを身につけていれば、いざチャンスを得られた時にも、どんな領域かに関わらず「やれるんだぞ」という自信を持って引き受けられます。

事業を立ち上げるというフェーズにおいて、慎重ではあるけど楽観的というか、前を向いて進んでいくことがとても大事ですよね。そういう意味でも、「やれる」というマインド、自分に自信を持てることが重要だと思っています。

ストーリーを伝え “WHY” を共有し、共に前進する強いチームをつくる

安倉:三つ目は、「仕事の意義を共有し一体感をもって共に働けるチームをつくること」でしたよね。様々なプロジェクトにアサインされて実際に取り組むカーリーの様子を見ていて、それをやることの意義とか意味・背景といった“WHY”の部分を大事にして、それを考え抜いて行動をする人だなというのは、僕もすごく感じていたこと。そして、それをメンバーにも浸透させ、チーム一丸となって立ち上げの苦しい時期を幾度となく乗り越えてきていますよね。

例えば関西支社長時代は、なぜ関西エリアにフリークアウトが必要なのか、関西支社はフリークアウトの中でどういう役割を担うのか、関西支社だからこそ発揮できるバリューは何か、ということを常に追求し、発信していたと思う。

位置情報マーケティングプラットフォームの「ASE(エース)」をリリースした頃、新しいプロダクトを本社よりも早く関西支社で営業活動していく、ということへの力の注ぎ方が凄かった。

小さい組織だからこそ高速でPDCAをまわし、本社にフィードバックすることでプロダクトの改善をしながら、会社全体で拡販できるよう営業力を強化していく、ということを徹底していて。

そういった関西支社の動きがあったからこそ、ASE事業が成長したという側面も大きいと思うんですよね。

佐々木:そうですね。まず広告マーケットにおいて、西日本エリアは東京のクライアントと比べて、同じマーケティング課題に対して広告投資出来る予算が限られていますし、「新しいものだからいったんやってみよう」ではなく、よりシビアに広告投資対効果を求められる市場だと捉えています。

そのようなマーケットのなか、西日本のクライアントは位置情報を使えるようになる前から「特定の商圏」にしか広告を出稿できないという制限に縛られている環境でした。東京のクライアントは、自社のサービスを全国の顧客にいかに効率よくリーチ・認知させるかが目的である一方、西日本のクライアントは最初から自分たちの商圏が縛られていることが多い。

そのように目線を変えると、「ASEというプロダクトの検証には関西支社が適しているのではないか」という仮設も立てられますし、競合がそこに張っていなければ、事例作りも市場優位性も一歩先に進むことができる。

「だからこそ、俺らがやるべきだ」「西から東を変えようぜ」ーーそんな話をよく同僚としていましたね。

安倉:その仕事をする“WHY”の部分がしっかりとチームと共有できていたんですね。

立ち上げ初期においては結果はなかなか出ないものだから、数字だけでコミュニケーション取ってしまうと、心も折れるだろうし、チームワークも成り立たないですよね。カーリーからの“WHY”の部分の伝達が強いから、立ち上げの一番大変な時期でもチームメンバーは共感して頑張ってくれるんだろうし、何よりカーリー自身が一番前向きだから、任せたいと思われるんじゃないかな。

仕事の意義を伝えることの重要性ってよく言われることかもしれないけど、それが実際にできる人って、フリークアウト内でも社外を含めて考えても、希少だと思うんですよ。抽象度が高い概念は、表面的になってしまうケースも多々あるし、実際のチームとしてのアクションに繋げる、というのはすごく難しいことですよね。

カーリーは、それをストーリーとして表現して伝えることに長けている。ストーリーによって相手に強いインパクトを与えて、記憶にしっかりと残し、共感・動機付けをするーーこれってすごく専門性が高いスキルだと思うし、特に新しいものを始めるというシーンにおいて、非常に活きてくる力ですよね。そして、語るだけではなく、自らが先頭にたって背中を見せる。これがメンバーの実効的なアクションにつながっているのではないでしょうか。

真に求められている結果を出し、社会により大きなインパクトを

安倉:今日話してみて、改めてこの「Make Some NOISE!」のプロジェクトに、なぜカーリーを巻き込みたかったのかが自分の中でも言語化できた気がします。

何にでも面白みを見出して、まずは自分が一番楽しむ!そしてその「面白い!」の感覚を周囲のメンバーにも自然と伝播させる力が傑出してるんじゃないかな。その上で、期待の本質部分を考え抜き、真に求められている結果を出し続けている。だからこそ「指名したい」、「カーリーに仕事を任せたい」と思われるんでしょうね。

佐々木:ありがとうございます。

「好きなもの」、「やってて面白いこと」って周囲の共感を得たいじゃないですか。それをビジネスにおいても自然にこなしているだけなのかもしれません。インタビューがなかったら自分でも気付けていなかった部分かもしれませんね。

重要なプロジェクトであればあるほど、「面白さ」が隠れていると思うので、それをうまく言語化して周囲に伝播していくことはこれからも続けていきたいです。

現在メインで携わっている伊藤忠商事との事業開発も、非常に重要なプロジェクトと捉えています。規模もかかる時間軸もこれまでとは比べ物にならない事業になるので、分からないことだらけで、不安の中精一杯あがいているというのが正直なところです。

ただ、これはフリークアウトが社会により大きなインパクトを与えていくために必ず通らなければならない道ですし、その第一歩を踏み出すプロジェクトを担っていると考えると、ワクワクするのも事実です。

フリークアウトらしい、業界に一石を投じる、度肝を抜くような事業を創り出したいと思っています。ぜひご期待ください。